将来のためにお金を貯める。NISAを始める。資産形成を考える。
どれも大切なことですが、その前に考えておきたいことがあります。
それは、「自分はどんな人生を送りたいのか」という問いです。FP9では前回、GG佐藤さんと丸山FPの対談を通じて、ライフラインチャートが人生の転機や価値観を見つめ直すきっかけになることを紹介しました。
今回はFP9編集長のヒラタが、自分のライフラインチャートをもとに、丸山FPと一緒に人生を振り返りました。お金やライフプランについて伝える立場であっても、自分自身の人生を一本の線で振り返る機会は多くありません。
出来事を並べ、言葉にしていく中で見えてきたのは、これまで意識していなかった「自分の軸」でした。
ライフラインチャートとは、人生の出来事と、そのときの気持ちの動きを時系列で整理するものです。進学や就職、転職、結婚などの大きなライフイベントだけでなく、趣味との出会い、旅行、人との関わりなど、自分にとって印象に残っている出来事も書き出します。
目的は、過去に点数を付けたり、良かったことと悪かったことを判定したりすることではありません。
出来事を並べて振り返る事で、自分が何を大切にしてきたのか、どのような場面で充実感を覚えたのかを見つけるためのものです。
今回、私が作ったライフラインチャートには、小学生の頃から現在までの出来事を記入しました。学生時代は吹奏楽部でトランペットを吹いていたこと、旅行が好きになったこと、仕事を通じた出会いや変化。
一つひとつは覚えていても、人生全体を続けて振り返る機会はこれまでなかなかありませんでした。
丸山FPが注目したのは、進学や就職といった大きな節目だけではありませんでした。
学生時代の部活動や趣味など、自身が何気なく書いた出来事にも目を向けていきます。
出来事だけを見ていると、部活、趣味、仕事はそれぞれ別の話に見えます。しかし、そのとき何が楽しかったのか、誰と関わっていたのかまで掘り下げると、共通するものが見えてきました。
振り返らずに「私の価値観はこれです」と答えられる人ばかりではありません。自分の軸は、頭の中だけで考えるよりも、実際の経験をたどりながら探す方が見つけやすいものでした。
ライフラインチャートは抽象的な自己分析ではなく、自分が実際にしてきた選択から価値観を確かめられるところに意味があります。
ライフラインチャートは過去を振り返るものです。しかし、振り返ること自体がゴールではありません。丸山FPは見えてきた価値観を、これからの人生にどうつなげるかが重要だと教えてくれました。
過去の経験から、自分が大切にしてきたものを知る。そこから、これからも大切にしたいものや、実現したいことを考える。
この順番を踏むことで、未来の話が単なる理想ではなく、自分の経験につながったものになります。
対談は、私が老後のために続けている資産形成の話へと進みました。
目的が「老後のため」だけでは、必要な金額も、今から何をすればよいかも決めにくくなります。どのような暮らしをしたいのかが見えて初めて、それに必要なお金を考え、現在との差を整理できます。
お金は、増やすこと自体が目的ではありません。自分が望む人生を支えるためのものです。だからこそ、金融商品や金額を考える前に、自分が何を大切にし、何を実現したいのかを整理する必要があります。
ライフラインチャートは一人でも作れます。
一方で、自分で書いた出来事を誰かに話すと、自分では当たり前だと思っていた選択に意味が見つかることがあります。
FP相談というと、貯蓄額や収入、保険、資産形成など、お金の話から始まるイメージがあるかもしれません。しかし、お金だけでは、その人にとって本当に必要な選択は決められません。
過去の経験や価値観を共有しながら、「どんな人生を送りたいのか」を一緒に考える。そのうえで、必要なお金や今後の行動を整理する。丸山FPが考えるFPの役割は、人生全体を見ながら伴走することでした。
ライフラインチャートを作ることで見えてくるのは、過去の出来事そのものではなくそこに表れている自分の価値観です。
具体的には、次のようなことを整理できます。
大切なのは、きれいなチャートを作ることではありません。
山や谷の大きさにも、正解はありません。その出来事を自分がどう受け止め、何を感じたかに意味があります。
Q.ライフラインチャートには嫌だった出来事も書いた方がよいですか?
A.無理に詳しく書く必要はありません。ただ、苦しかった時期に何がつらかったのか、何が支えになったのかを振り返ると、自分が避けたい状態や大切にしたいものが見えることがあります。
Q.ライフラインチャートに正解はありますか?
A.正解はありません。同じ出来事でも、そのときの感じ方は人によって異なります。一般的な評価ではなく、自分にとってどうだったかを表すことが大切です。
Q.一人でも作れますか?
A.一人で作れます。作った後に誰かと話すと、出来事の共通点や、自分では気づかなかった価値観が見つかることがあります。
Q.ライフラインチャートは自己分析にも使えますか?
A.使えます。過去の出来事と気持ちの変化を整理することで、自分が大切にしてきた価値観や、充実感を得やすい環境に気づきやすくなります。
Q.ライフラインチャートとライフプランはどう違いますか?
A.ライフラインチャートは、過去の経験や価値観を振り返るものです。ライフプランは、その価値観をもとに、これからの暮らしやお金の使い方を考えるものです。
Q.書き方がわからない場合はどうすればよいですか?
A.まずは印象に残っている出来事を時系列で並べるところから始めます。具体的な書き方は、別記事「ライフラインチャートの書き方」で詳しく紹介します。
人生を振り返るとき、思い出すのは大きな成功や失敗だけではありません。好きだったこと、夢中になったこと、誰かに助けられたこと。何気ない出来事にも、今の自分につながるヒントがあります。
これからのお金について考えるときも、最初に向き合いたいのは、「どんな人生を送りたいのか」という問いです。何を大切にしたいのか。その問いに向き合うことが、これからの選択を考える最初の一歩になります。
うまく書こうとしなくても大丈夫です。まずは印象に残っている出来事を並べてみるだけでも、自分が大切にしてきたことに気づくきっかけになります。
まずは一度、自分のライフラインチャートを作り、これまでの人生を振り返ってみてください。
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